平成29年10月24日(火)、沖縄県総合運動公園にて高圧ガス防災訓練が実施されました。
高圧ガス防災訓練は、高圧ガス関係事業所の従事者を対象として、高圧ガスの製造事業所・販売事業所・消費事業所における高圧ガスの災害を想定し、その拡大防止を目的として実施されています。
また、防災活動の充実と保安意識の高揚も図っています。
私もガス会社に従事する一人として訓練を見学してきました。
・沖縄県総合運動公園の駐車場
訓練が行われる場所は、総合運動公園内の広い駐車場。
開始時間30分前に到着したのですが、既に多くの人が集まっていました。
テントも併設され、訓練の様子を間近で見ることができます。
・受付
・訓練開始10分前
受付を済ませた後、訓練が始まるのを待ちます。
テント周辺には訓練の参加者や、多数の見学者が待機しています。
・訓練開始宣言
訓練本部長 喜友名氏の挨拶のあと、実行幹事会委員長 大城氏より訓練開始宣言があり、いよいよ高圧ガス防災訓練の開始です。
訓練の項目は次の通りで、順番に実施されていきます。
1.基本訓練(アンモニア事業所空気呼吸器着用訓練)
2.高圧ガス燃焼、特性実験及び逆火阻止実験(アセチレン逆火阻止実験、酸素・アセチレン・LPガス燃焼実験)
3.緊急措置訓練(高圧ガス移動車輌緊急措置訓練)
4.緊急措置訓練(LPガス災害復旧訓練)
・空気呼吸器着用訓練
はじめは、空気呼吸器の着用訓練です。
アンモニアを取り扱う毒性事業所では、ガス漏れ事故に対処するため各事業所に空気呼吸器の備え付けが義務付けされています。
その空気呼吸器を素早く正確に着用する訓練と、ガス漏れ事故が発生した現場を想定しての訓練がありました。
・アセチレン逆火阻止実験
次に、高圧ガス燃焼実験がありました。
燃焼実験は、アセチレンガス逆火(ぎゃっか)阻止実験から始まりました。
アセチレンは、酸素と混合し完全燃焼させた場合の炎の温度が3,330℃にも及ぶため、溶接などに使用されます。
逆火とは、ガス火炎を使用中に火炎が火口(ガス溶接などに用いる器具の先端に取り付ける炎の出る部分)からガスの供給側へ戻る現象で、物が燃える燃焼速度と、ガスが火口より噴出される速度の釣り合いが崩れる事で起こります。
実験では、実際に逆火を発生させ、逆火によるホース破裂、逆火防止器の効果、逆火の威力などを実演していました。
ホース中央に逆火防止器を取りつけた実験では、ホース右側から発生した逆火が中央で防止される様子を見ることができました。
・バケツに注がれる液化酸素(マイナス183℃)
燃焼実験、次は酸素です。
酸素は物質が燃焼するのを助ける性質(支燃性)を持ちます。
通常燃えることのない鉄パイプが、酸素ガスを通すことで激しく燃焼する実験や、普通のタオルと液化酸素をかけたタオルの燃焼状態の違いを確認し、その取扱いの重要性を学びました。
・アセチレンガス燃焼実験
酸素の次は、再度アセチレンガスです。
容器から炎が噴き出す様子を再現し、安全な取り扱いを学びます。
・LPガス燃焼実験(ガス体の場合)
・LPガス燃焼実験(液体の場合)
燃焼実験、次はLPガス。
LPガスの代表的な成分はプロパンやブタンであり、家庭用では主にプロパンガスが、オートガススタンドでは主にブタンが使用されています。
LPガスについて、ガス体と液体の燃焼状況の違いを確認し、ガスの性質及び安全な取り扱いについて学びます。
燃焼状況を比較すると、ガス体よりも液体の方が、火柱が大きく炎に勢いがあることが分かります。
・高圧ガス移動車輌緊急措置訓練
燃焼実験の次は、実際の現場を想定した訓練です。
パターン①は、配送車輌が走行中に横転し、バラ積み容器が路上に散乱、その内1本の容器から漏れたアセチレンガスに着火した事を想定した訓練です。
運転手は安全を確保し、関係各所に連絡します。
消防車で駆け付けた消防隊員が散水しますが、勢いよく燃焼しているアセチレンガスの炎はなかなか消えません。
火を消す事が二次災害に繋がるケース(漏れたガスが滞留し、滞留したガスに引火する等)もあるとの事で、今回は散水によって容器を冷やしながら安全に燃焼させる方法をとっていました。
・LPガス災害復旧訓練
実際の現場を想定した訓練のパターン②は、地震災害を想定した訓練です。
充てん所では緊急措置を行い、ご家庭ではLPガス供給ラインを復旧します。
容器の状況について目視で確認し、ガス漏れの有無を検知器で確認、さらに供給設備の保安を確保し、素早く正確に供給ラインを復旧させていました。
・LPガス供給訓練
また、避難所へのLPガス供給訓練も行われました。
災害対策本部からの要請に基づき、避難所へLPガスを供給します。
LPガスは炊出しやガス発電機による発電に使用されます。
・訓練終了
全ての訓練終了後、沖縄市消防本部消防長 仲宗根氏の講評があり、一般社団法人沖縄県高圧ガス保安協会長 渡口氏の挨拶で高圧ガス防災訓練は終了しました。
今回の防災訓練には私を含め他の社員も参加しており、訓練を通して災害対策の大切さを改めて理解し、保安意識も高まったように感じます。
今後も、防災や保安意識の啓発を目的として防災訓練に参加し、安全安心にLPガスをお届けできるよう努めてまいります。
記事担当:ガス事業部 仲本
ガス事業部は、生活における熱エネルギーの中心である安全で安定した“LPガス供給”で皆さまの暮らしをサポートします。また、皆さまの生活の質の向上をサポートするため、ガス機器・水まわり商品・厨房機器・空調機器・家電の販売や施工からリフォームまで、幅広く皆さまに貢献いたします。